2017/12/14 ストップする技術 バドミントンとブレーキ

うちのジュニアでは年始早々に毎年恒例の親子ペアによる試合があります。経験者も未経験者も親子でダブルスの試合をガチンコで行います。レベル別のクラス分けはあるもののどのクラスも親子でピリピリする展開です。

そんな事もあり、保護者の方も自分もバドミントンの練習をと水曜特訓やその後にある大人の練習にジャージ姿で参加する人がこの時期は増えてきます。昨日も「子供が最近やる気を出して~」と言いながらも、実は自分がいちばんやる気という保護者が多くいらしていました。

普段は傍から眺めているだけの保護者も一緒になってシャトルを追っている姿は、本当に楽しそうでした。またその親を応援する子供の姿もまた見ていてほっこりしました。親に言われて子供がバドミントンの練習に励んでいるのではなく、子供が親をバドミントンに引っ張り込む。充実した親子関係は、子供から親への流れで作られるのは、わかっていても中々難しいのですが、こうやってバドミントンを通じて、その流れを一時でも親子間で感じ取ってもらえたら、将来関係が悪くなった時の方向修正のヒントになるのかなと思います。

さて、親子でほのぼの感を冒頭で書いてしまったので、昨日の練習もほのぼののように映ってしまったかもしれませんが、子供たちには「きつい。もう無理」と根をあげそうになるくらいしっかり特訓してもらいました。

走って、止まって、方向転換、そしてまた動いて、走ってと、1時間弱はシャトルを打たない基礎強化を行いました。特に「止まる」という部分を課題にしてもらいました。先日の東京都シングルスの試合を観戦しながら、他のジュニアクラブの子でも、勝てない子のほとんどが「止まれない」という姿をみかけました。うちのジュニアの子にもまだまだ足りない面でもあります。

「止まれない」事から生じるバドミントンのマイナス面としては、1.前後左右の戻りが遅くなりオープンスペースが増える。2.下半身の力が上半身に伝わらず力任せのスイングになる。3.視線が動き続けるため相手コートを良く見れない。などがあります。結果的にどうなるのかは想像すればわかると思います。

止まれば良いだけなのですが、運動経験、外遊びの経験の少ない子にとっては、「止まり方」の感覚がそもそも身についていません。極端な場合、アクセル全開からいきなりブレーキをかけようとします(怪我をする止まり方です)。ギアを落としつつ、回転数を落とし、止まるという事が体に染みついていないのです。(車ならオートでやってくれますが、子供の体はマニュアル車なのです。)

止まる前には、回転数を落とすため、歩幅を徐々に狭くする。スタートからストップなら、1,1,2,3,4,5,5,5,4,3,2,1,1のように歩幅のピッチを調整します。歩幅は狭くスタートし、徐々に広がり、そしてまた徐々に狭くなり、最後に止まる。バドミントンのフットワークの場合なら、この止まれる形になってから初めて「最後の一歩は大きく」になります。

「最後の一歩は大きく」ばかりを意識しすぎて、その前の止まる準備をしていないので、体は流れ、運動方向を変換できなくなってしまう子が多いのです。トップ選手のフットワークを細かく見てみれば、リアクションステップから最後の一歩までの歩幅は実に多様にギアチェンジ(ピッチ幅調整)している事がわかります。3歩で動いているように見えても、スタートの際には細かくタタッと初歩の動きがプラスされています。止まる際にも、その都度、歩幅の調整をした上で最後の一歩を繰り出しています。

止まるための運動神経系は、野山をかけめぐったり、鬼ごっこやだるまさんが転んだなどの外遊びの中で、身につくものではあるのですが、その機会の少なかった子達は、止まりたくても止まり方を知らないレベルにあります。ダッシュなどのアクセル能力を向上すれば確かに目的地までは最短で到達できるでしょう。しかし、そこで止まれなければ「到着」になりません。ブレーキ能力も大切な技術です。

しっかり止まれるようになると、視野も開け、相手のコートも良く見えます。止まれるだけでまた違ったバドミントンの世界が開けてきます。

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